『トゥーランドット』見どころ・聴きどころレクチャーとミニ演奏会
今回の記事は、オペラ『トゥーランドット』についてのをレクチャーを聞きに行った時のレポです。
来月オペラ鑑賞2回目ということで、鑑賞する前に内容を理解し、より楽しめるよう&気持ちを高める♫ため参加しました。
オペラ『トゥーランドット』が楽しめますよう、参考になれば幸いです。
〇オペラ夏の祭典
「オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World」
東京文化会館と新国立劇場が、2020 年に向けて、初めて共同制作を行い、日本を代表する各地の劇場と連携して2年に渡り展開する国際的なオペラプロジェクト
2019年8月3日(土) 4日(日)
【指 揮】大野 和士
【演 出】アレックス・オリエ
- 美 術 アルフォンス・フローレス
- 衣 裳 リュック・カステーイス
- 照 明 ウルス・シェーネバウム
- 演出補 スサナ・ゴメス
- 舞台監督:菅原 多敢弘
- 合唱指揮:三澤 洋史合 唱:新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部、びわ湖ホール声楽アンサンブル
児童合唱:TOKYO FM少年合唱団(東京文化会館公演・新国立劇場公演)、大津児童合唱団(びわ湖ホール公演)、HBC少年少女合唱団(札幌文化芸術劇場公演)
管弦楽:バルセロナ交響楽団
〇「アートプログラム」
2019年7月4日(木)
クリエイティブスタジオ
(札幌市民交流プラザ3F)
19:00 開講
プッチーニ・オペラの特徴
札幌大谷大学と札幌文化芸術劇場 hitaruが連携し、音楽や舞台芸術の魅力をお届けする事業「アートプログラム」
第1回は、「オペラ『トゥーランドット』見どころ・聴きどころ」と題し、8月に公演を控える「トゥーランドット」について、レクチャーとミニ演奏を交えてわかりやすく解説します。また、こけら落とし公演 オペラ「アイーダ」の巫女役を務めた針生美智子氏がミニ演奏で出演。
〇アートプログラム出演の方々
千葉 潤(教授)
東京藝術大学大学院博士課程満期退学、モスクワ音楽院大学院音楽理論科修了。
2003 年に芸術学カンディダート(Ph.D) 取得。専攻は音楽学・現代ロシア音楽。著書に「作曲家人と作品 ショスタコーヴィチ」
( 音楽之友社 )、共編著に「ロシア音楽事典」(カワイ出版 ) など。
針生 美智子(声楽家 准教授)
札幌大谷短期大学卒業、同専攻科修了。文化庁オペラ研修所第 11 期修了。道文化財団、文化庁在外
研修員としてローマに留学。第 2 回藤沢オペラコンクール第 1 位他多数受賞。2018年、札幌文化
芸術劇場主催公演「アイーダ」では巫女長で出演。2019年4月新国立劇場では『ジャンニ スキッキ』
のネッラで出演。二期会会員。
鎌倉 亮太(ピアニスト 准教授)
北海道教育大学大学院修士課程修了。フィンランド国立シベリウス音楽院へ留学。 札幌市民芸術祭大賞、
NHK 旭川放送局賞、三浦洋一賞を受賞。ピアニスト、指揮者として活動の幅を広め、室内楽グループ
kuhmo’z を結成、全国各地でツアーを 実施。また北海道二期会や kitara 主催オペラ等で指揮を務める。
♪プッチーニ 人生と創作
ジャコモ・プッチーニ(1858ー1924)
1.イタリア・トスカーナ州の小都市ルッカに生まれる。4代続く当地の大聖堂オルガニスト兼合唱指揮者の名門だったが、5歳の時に父が他界。ジャコモはオペラ作曲家を目指す。
2.1880年、ルッカ音楽院卒業後、奨学金を得てミラノ音楽院入学。貧乏な下宿生活だが、マスカーニ、カタラーニ等、次代の作曲家と交流。やがて出版社リコルディの支援を得る。
3.第3作⦅マノン・レスコー》(1893)で、大成功
⦅ラ・ボエーム⦆(1896)
《トスカ》(1900)
《蝶々夫人》(1904)を発表。
4.私生活では、エルヴィーラとの駆け落ちの末の結婚、合唱団員コリンナ、シビル・セリグマン等の愛人多数・・・。
5.28年間に6か所住まいを変え、14台の車を所有、豪華なヨットを含む5台の大型モーター・ボードを所有(イタリア統一運動に共鳴、慈善活動を続けたヴェルディと対照的)
6.1924年、喉頭がんの治療中に心臓麻痺で死去。
レジュメより
♪プッチーニ・オペラの特徴
- 時代背景:国家統一後のイタリアでは工業化が進み、北部と南部の格差が拡大。第1次大戦後の膨大なインフレにより、失業者の不満が増大し、労働運動や暴動が頻発、1942年ムッソリーニの国民ファシスタ党が政権樹立(プッチーニは名誉党員)。
- ヴェリズモとヴァグレリズムの隆盛:(下層の人々の貧困や病気、嫉妬等の日常を写実的・直情的に描く)音楽的には、登場人物等に特定の主題を配置し、劇の流れを連続させるヴァーグナーの影響が強まる。
- プッチーニの独自性:
①英雄や貴族ではなく庶民(とくに可憐で控えめな女性)が主人公の人情豊かな感傷劇
②世紀末的な異国趣味(パリ、長崎、アメリカ、北京等)
③伸びやかな歌謡性
レジュメより
♪《トゥーランドット》の成立
・作曲:1920-1924(未完)。F・アルファーノ補完
・初演:1926年4月25日、トスカニーニ指揮、ミラノ・スカラ座
・原作:18世紀イタリアのカルロ・ゴッツイのお伽話(1762)を、シラーが戯曲化し、後に伊訳したもの。原典はアラブ古典文学の『千一夜物語』や、そのパロディ『千一日物語』に遡る。
・ゴッツイの創意で、イタリアの即興喜劇「コメディア・デラルテ」の役柄を導入=プッチーニが重要視ピン・ポン・パン
「シェイクスピアが劇中で、本筋と関係ない酔っ払いなどに、神への冒とくや王様の悪口を言わせるように、彼らが語る辛辣な言葉が、現実生活の真面目な方向に僕たちを向かわせる」➪王子、王女の高尚な幻想世界を、庶民的な現実感覚で相対化。
レジュメより
♪《トゥーランドット》あらすじ
【第1幕】
古代中国・北京の城門前。トゥーランドット姫の花婿になるには、3つの謎を解かねばならず、「失敗すれば首を斬られる」と役人が告げる。流浪の末、再会を果たしたカラフ王子と盲目の父王ティムール、そしてカラフを密かに慕うリュー。だが、姫に魅せられたカラフは二人の制止を振り切り、謎かけに挑む決意をする。
【第2幕】
(第1場)
ピン・ポン・パンが登場。故郷を懐かしみながら、姫に殺された多くの若者を憐れみ、早く姫の心がとけて愛の夜が訪れるようにと皮肉りながら歌う。
(第2場) 宮殿前の広場。トゥーランドットは昔、異邦人に殺されたロウ・リン姫の生まれ変わりとして男に復讐すると歌う。カラフは姫の出す全ての謎を解くが、乙女の身を見知らぬものに渡したくないと嫌がる姫を見て、自分から謎を出すことにする。もし夜明けまでに自分の名前を当てることが出来たら、自分の命を捧げると誓う。
【第3幕】
“王子の名前がわかるまで、北京市民はだれも寝てはならぬ” と、姫の命令が下される。勝利を確信するカラフは“あなたも寝てはならない、姫よ”と歌う。
王子の名前を知る人物として父王とリューが捕らわれる。拷問を受けて王子の名前を明かすことをおそれたリューは、その名前を秘したまま自害する。
強い愛を前にして、姫の心がとけ始めたことを感じたカラフは、姫に接吻して名を明かし、命を姫の判断にゆだねる。夜明けを迎えた宮殿では、皆の前で姫がカラフの謎かけに応える。彼の名は“愛だ” と。
レジュメより
♪《トゥーランドット》フィナーレ問題
・第3幕のリューの自害の後、トゥーランドットとカラフのデュエットの歌詞を5回にわたり修正している間に死去。・アルファーノ補完版をトスカニーニが大幅に短縮した版が定番だが、余りにも性急にハッピーエンドに至るのが問題。
・リューの死の衝撃の後、カラフの接吻を契機に、トゥーランドットの心が変化、カラフの愛を受け入れるまでの過程を矛盾なく描く難しさ(犠牲死のリアリズム/王子と王女のお伽話世界/カラフの接吻が象徴する男性優位)
・演出家アレックス・オリエさん:“カラフがトゥーランドットの美貌ではなく権力に惹かれていく姿”、“通常とは異なる結末”
レジュメより
★アートプログラム感想★
今回のレクチャーで関心が高まったのは
第2幕のトゥーランドットとカラフの歌合戦です。
トゥーランドットとカラフのデュエットで、
・トゥーランドット
🎶「謎は3つ、死は一つ」
・カラフ
🎶「謎は3つ、生は一つ」
この問答を繰り返しながら、次第に音域が上がっていくところです。
それと、ピン・ポン・パンってなんだか突拍子もない役どころの様な感じがするのですが、プッチーニが重要視していたようなので、劇中で、どんな感じで登場するのか、話の中での重要度合いがどのようなものなのか、楽しみでもあります。
今回のレクチャーに参加して来月のオペラ『トゥーランドット』の鑑賞の楽しみ度が増しました。
フィナーレがどんな感じになるのかも楽しみの一つです(*^_^*)
針生 美智子さんの伸びのある素晴らしい歌声に、ただただ感動いたしました♫
プッチーニは
⦅歌うな語れ⦆・⦅質の高いメロドラマ⦆
と話していたのが印象的でした。
楽譜には”ここで立ち上がる”とか細かく指示が書いてあるそうです。
家に帰って、娘に「オペラ歌手になったらいいんじゃない?」と話したら、「無理!」と言われました・・・。
わかってます。わかってますけど・・・。こんな素敵なお仕事いいなぁ~と思って。。。
オペラ歌手ってホント素敵♡です。
今回の千葉 潤(教授)の解説はわかりやすく、話も面白く、とても楽しかったです。ありがとうございました👏
♫トゥーランドット鑑賞してきました:2019年8月4日
トゥーランドットS席
S席2C- 2列-1
良く見えまーす(*^_^*)
休憩時間:ドリンクコーナーは初めはとても混んでいました。
アルコールとソフトドリンクがありました。
トゥーランドット鑑賞の感想
トゥーランドット、今回の結末は最後の最後の一瞬で気分がマックスになる演出でした!!!
スポットライトがトゥーランドットに当たり、短刀の先を自分に向け、一瞬で表現して終演するという演出に驚きました。思わず「オッ」と声が出てしまいました。
リューがとても可愛らしく一途さが伝わり心惹きつけられました♫良かったです!!
オペラ鑑賞2回目ですが、事前にアートプログラムに参加して予習していたせいか内容も良くわかり、とても楽しめました。
席も良く見える席で、オーケストラピットも初めて生で見ることが出来ました。
♪トゥーランドット鑑賞・おすすめの曲♪
♪序奏-「北京の民よ」
♪「だれも寝てはならぬ」
♪「氷のような姫君の心も」
♪「お聞き下さい王子様」
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